2012年10月1日~2日未明、憂歌団のドラマーであった島田和夫さんが急逝した。様々な情報が飛び交う中ではあるが、どうも自殺ではないかと云う見方が濃厚である。
何と云う現実、何と云う喪失感。
憂歌団は、浪速のブルースバンドとして1975年、アルバム「憂歌団」でデビューし、手広くバンド活動をしていた。関西方面では有名だったのだが、関東では知名度はいま一つであったのも事実。お茶の間で有名な歌は、1996年テレビアニメが放映された時の、「ゲゲゲの鬼太郎」のテーマソングを歌った事で知られていると思うが、その殆どは、私の様な一風変わったコアなファンに愛され続けたのである。
私と憂歌団の出会いは、1枚のCDに遡る。私は1984年東京経済大学に入学し、フリスビー部に所属、団体競技であるアルティメットを中心に、フライングディスク競技に没頭していた。当然、全日本大会等々、全国各地の学生団体や、社会人のチームと交流する為、その土地土地の文化や音楽などを情報ソースとして、その場でその場の諸先輩方から見聞し、特に関大や近大の人達から大阪文化を見聞したりしたものだ。何しろ、携帯電話や、パソコンなぞ、全然普及していなかったからね。直に聞く情報が新鮮な時代だったのだ。
その大阪の先輩から、大学の同期のさわら君が、2枚のレコードを拝借して来た。そのうちの1枚が、憂歌団の「憂歌団 生聞59分」というライブレコードであった。もう1枚のレコードは、上田正樹と有山淳司の「ぼちぼち行こか」であった。どちらのアルバムも衝撃であった。正直、洋楽のロックバンドに傾倒し、バンドの真似ごとをしていた時期にギターを担当していた奴(現在はプロのジャズギタリスト)アマノ君に影響され、フュージョン・ジャズ・そしてブルースなんかをね、頑張って背伸びして聴き漁っていた時代だ。中高生の頃は、そんなに数多あるレコードを購入する事なぞ出来ないから、レコードのレンタルなんてぇ商売があった程なのである。そしてそれをカセットテープにダビングして、ラジカセとか、カーステとかに入れて聴くってのが、当時の若者の定番ってぇ奴だ。
聴いていたのが洋楽ばかりだから、歌詞に痺れるって事が皆無だった私はね、内田勘太郎さんのスライドギターに狂気し、木村秀勝(木村充揮)の天使のダミ声に戦慄を覚え、花岡献治のベース、島田和夫のドラム率いる、とろけるようなリズム隊に乱舞したものである。
大阪を中心に活動して来た憂歌団であるが、私が生まれ育った立川の隣の、国立って所のライブハウス「リバプール」でよくライブをやってくれてさ、万度、足繁く通ったモンである。ライブでの憂歌団のメンバーの所作がとっても格好良かったんだ。木村君がギターの先端に煙草を差して、バーボンをストレートでキューッって曲の合間に三杯位づつ、いちいち呑んじゃうから、ベロベロになりながら、ライブは続くんだ。本当に痺れたよ。
生聞59分から以降、全ての憂歌団のレコード(程なくCDとなった)を買い漁り、当時の彼女と聞くのも憂歌団。傍から見りゃあ、色気もヘッタクレもあったモンじゃ無いんだろうが、どっこい憂歌団の色気が解らない様な女ぁ、こっちから願い下げなんである。憂歌団のヘビーローテーションである。当時のレコード会社「フォーライフ」が泣いて喜びそうなネタであるよ。何しろ、ラジオ局にリクエストしても、オンエアされる事ぁ無かったからな。大ヒット(?)曲の彼らの代表曲とも云える「おそうじおばちゃん」なんぞは、掃除婦に対して、差別的な歌であるって事で、放送禁止にされてしまった程であるからね。その「おそうじおばちゃん」や「パチンコ ランランブルース」が、デート中にヘビロテ。かくも素晴らしい青春時代であったのだ。ラジオは勿論AMにリクエストだ。FMなんぞ、FM東京位しか無く、学生時代にFM横浜、ナック5、そして遅れる事1989年、BayFMが開局なんてぇ長閑な時代だから、特に立川なんて、横田基地のアメリカ軍が放送する、「FEN(ファーイーストネットワーク)」が、横文字放送でイカシているってぇ、イカレテいる考え方で以て、ラジオを聴いていたのだった。ラジオ世代。何しろ、自家用車に標準装備されているのは、AMラジオってのが当たり前だったんだぜ。カーステなんてぇ言い回しは、とっくに死語なんだろうか?
まぁいい。揺れる青春時代から、ブレる30代、起死回生の40代、そして現在に至るまで、そして、これからも、私のテーマ曲として存在して行くであろう、憂歌団の楽曲。今回の島田和夫さんの死は、何か自分の体の一部を無くしてしまった様な、そんな喪失感を感じるのである。
時期を同じくして、お茶の間では経済評論家の金子某さんのニュースばかりが取り沙汰されており、島田和夫氏を偲ぶ報道は微塵も無い。ま、報道しても、誰も解るまい。それでイイ。
憂歌団は永遠に、私の側でブルースを響かせ続けてくれるのだ。
島田和夫さん、安らかに。そして、ありがとう。ありがとう。ありがとう。
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