自転車ブーム(?)の中、何やら警察の動きが活発だ。
最近、やたらと新聞、テレビなどと云ったメディアに登場する、整備不良自転車や、集団で信号無視をするロードレーサーなんかが、取り沙汰されている。先般、同窓会でも、普段殆ど自転車などという乗り物とは無縁の生活をしているだろう人々からも、ブレーキの付いていない自転車について、質問を受けた程である。
よくメディアでは、「競技用自転車」「ピストバイク」などと表現をしているが、そもそもピストと云うのはフランス語で、自転車競技場であるとか、その走路を指す意味であってね、バイクは自転車そのものを指すんだね。直訳すると確かに競技用自転車ではあるが、それはテニスのラケットを、「スポーツ用道具」としている程の説明不足で、厳密に云うとピストバイクは「トラック競技用自転車」という事になる。日本ではお馴染みの「競輪用自転車」なのである。厳密に云えば、現行、巷に溢れ返っている自転車の多くはシングルスピードバイクで、固定ギアであろうとブレーキが無かろうと、どれもピストバイクという、トラック競技用では無いんだね。総称しちゃっているだけの話だ。
それをそのまま公道に持ち出して乗るという行為は勿論違法。トラック競技=競輪というのは短絡的で、使用出来る自転車のレギュレーションが細かく決められている事も特徴である。大まかに云って、総じてトラック競技用自転車のフレーム部分には、そもそもブレーキが使用出来ない特殊な競技なので(ブレーキがあると集団で転倒事故などになってしまい、かえって危険)ブレーキを付ける為の台座や、スペースが設けられていない。
ブレーキを付けないと違法、とメディアが口々にするんだが、道路交通法による自転車の定義てのは、一般的に売られているママチャリを見れば一目瞭然なんだ。前照灯(ヘッドライト)、前後ブレーキ、後方リフレクター(反射板・赤色)、サイドリフレクター(反射板・白色、または黄色)、ベルなどを装備する事で、公道を走行出来るんだね。ルールは大まかに云って、原動機付きバイクと殆ど一緒なのである。因みに補助輪の着いた子供用自転車は、公道走行をすると違法である。補助輪があろうと無かろうとね。あの類いの自転車は、実はカテゴリーとしては自転車では無く、「幼児用遊具」に分類されていて、三輪車や一輪車と同じ括りなんだよね。だから最初から前照灯が付いていないんだ。例えライトやベルなどを装備しても、公道は走行出来ないんだ。ハナっからサイズが小さ過ぎて、自転車にはなれない乗り物なんだよね。自転車の扱いを知らない大手の玩具屋で多く扱っているのも、そう云った逃げ道があるからだと思うがね。
あと、メディアの表現で間違っているのが、ピストバイクが止まる、またはブレーキをかける場合、後ろに漕いで止める、って簡単に云うんだが、普通のペダルだけで足を乗せた状態で足を止める事など、まず出来ないんだ。トゥークリップというつま先を固定するバンドがあってさ、それに足を固定した状態にして、リアを抜重すると、リアタイヤがスリップするんだ。これをスキッドと表現して車両を止めようとしているんだね。
そもそも、メッセンジャーという、自転車で品物や書類を運ぶ、云わば自転車便の発祥の地、ニューヨークで、日々150kmを平均的に走るメッセンジャーが、毎日使う道具なので、ギアやフリー部分の消耗が激しくより壊れにくい固定ギアを選択し、日本の競輪用のフレームはシンプルで丈夫だぞって事でブームとなり、且つブレーキが無いアクロバティックな乗り方がクールであるとの理由でブレーキ無し自転車が流行った。それを見た日本の若者が、新しいカルチャーとして持ちこんだのが、大まかではあるが、現在のピストブームであろう。で、海外では自転車のブレーキが前後輪両方とも付いていなければ公道を走行出来ないなんて事は無い所が多く、片側だけで大丈夫って所も多いので、この辺りも日本仕様にしなければ等、色々と難しい問題となっているんだね。
ビーチクルーザーという自転車がある。こいつ↓
これは左側のブレーキレバーがハンドルに付いていない。一見するとリアがノーブレーキ自転車に見えるんだ。欧米の街乗り自転車などに割と採用されていて、ペダルを進行方向と反対方向に踏み込む事によって、ハブに組み込まれたブレーキシステムが働くようになっている、日本ではなじみの薄いシステムなのだ。だが、自転車によっては、誠に理に叶っている方式で、アメリカだと幼児車の殆どはコースターを採用しているんだ。子供は握力がまだ弱い為、より力のある脚でもってブレーキを掛けるって寸法。ビーチクルーザーは、地元サーファーが御用達でさ、左手にサーフボードを抱えて乗る事が出来る様に、コースターブレーキになっているのだね。
先日も、購入したビーチクルーザーには、ハンドルの左側にブレーキレバーが付いていないけど、大丈夫なのかって質問を戴いたが、所謂コースターブレーキシステムってのはハンドブレーキ方式ではなく、フットブレーキシステムなんだよね。脚でブレーキを踏むというタイプ。クランクを止めニュートラルにするとフリー状態で足を止める事が出来、クランクを逆回転方向に踏み込むと、コースターブレーキが作動するという仕組み。結構画期的な仕組みだが、外装多段変速等には不向きであって、現在ではシングルギアダイプと、内装三段変速のみがリリースされているんだ。
ビーチクルーザーの老舗、アメリカのシュウィンというバイクメーカーがあるんだが、此処で2011年モデルとしてリリースしていたのがシュウィン、マディソンシリーズのシングル部分の末端、末端が異端となっていなくもないんだが、兎に角、裾の車種、「レーサー」である。下手をすると30,000円以下で入手可能なシングルスピード。こいつがコースターブレーキ採用だ。フロントには通常のサイドプルブレーキ。極めてシンプル。フレームはハイテン剛。歌舞伎者の俺様としてはさ、敢えてこんな自転車で、都市部を颯爽と走ってみたいモンである。警察の取り締まりに引っ掛かる度に、逆に俺様がお巡りさんに説教するって云うね。わはは。実に鬱陶しい。
さて、2012年モデルでも、「レーサー」の継続を切に望むぞ。頼むぜ、シュウィン。頼むぜ、マルイさん。
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