日本の常識。世界の非常識。の権化、「ママチャリ」とは…前篇
日本は、不思議の国のアリスなんであるよ。いや、不思議な自転車が有りすってなモンである。我が日本国が誇る(?)大衆車、「ママチャリ」である。昭和45年(1970年)、全国の保有台数は、2764万3千台の保有台数が、平成20年(2008年)には、6909万9千台にのぼるのである。およそ国民の1.5人に一人の割合で、自転車を保有している計算になるんだそうだ。で、その保有台数の実に9割が、ママチャリに属する一般車であると云う事、これが日本の自転車事情を世界の自転車事情と大きく異なる部分なのである。
簡単に云うと、歩道専用走行車。コレが様々なよしなし事が積み重なり、ジャパニーズスタンダードになってしまっているんだ。ルールも知識も出鱈目。しかもこの類いの自転車に乗っている人達は、その殆どが自転車には全く興味を持たない人々なのである。
だが、この一連の自転車問題はね、徐々にではあるが、確実に変貌しつつあると思うんだ。また、そうしなければならないと切に思うのだ。何もママチャリが悪なんでは無い。自転車の使われ方に大きく問題が有るのだ。スポーツ自転車に乗り換えても、車道の右側の反対車線を爆走し、自爆するようにジドウシャに体当たりしては、ジドウシャだってスポーツ自転車を目の敵にしたくもなるよね。
日本人は、安楽な乗り物が好きなのだろうか、9割って云えば、ジドウシャの保有台数の実に9割が、オートマチックトランスミッションなんだってさ。…勿体無いねぇ。ま、オートマ限定なんてぇ、ビックリな免許も与えちゃうトンマな国だからさ、そうなっちゃうのも致し方無しって所だろうか?
ジドウシャって云えば最近、いや、昔からなんだがね、アルファロメオが大好きなんであるよ。それが何故だか無性に欲しくなってしまった。どんなにオートマティックが進化して、マニュアルよりも優れているって云われても、マニュアルに限るのだ。147のGTAなんて、素敵だよなぁ。相当安価になっているとはいえ、150万前後の推移だから、なかなか無い袖は振れないのである。156が安価になっているから、それも狙い目なんだろうが、う~む。悩ましい。スパイダーなんてジドウシャなのに2人しか乗れない、馬鹿馬鹿しい位の潔さがカッコイイよなぁ。
この不況下だからさ、ジドウシャもなかなか売れないらしい。おいらの店は自転車店だが、ま、色々とあってね、青色吐息でやっているんだな。様々な規制があるからさ、思った通りには行かないのが仕事ってなモンである。で、自転車は趣味でもあるが、必需品でもあるんだが、おいらにとってジドウシャは贅沢品なんだよ。ある意味、趣味だけのモノなんだな。だから、いざ手に入れれば大事にして大切に乗るのだ。そして愉しむって事だな。
まだまだ、これから子供に金が掛かるから、よっぽどの事が無い限り、ウチの女房は、自動車購入なんて許しちゃあくれないだろうが、どっこい、人生が起こるか解らないからね。オメデタイ楽天家が信条の俺様である。そのうちねってなモンであろう。
俺様、どちらかと云うと、好きなモノとかね、食べ物なんかだと、毎日飽きるまで食べたいタイプの人間なんだな。ホッピーとレバ刺しとタン刺しとモツの串焼きで、毎週に近い位、通ったりする。…太っちゃうよなぁ。
突然、流行病の如く、湧いて出たジドウシャに対する物欲ってのは、一体何なんだろう?
ま、当面はね、ジドウシャなんざ、無くてもさしたる問題も無いんだが、物事にはすべからく優先順位があるからねぇ。わはは。そこいらに銭が落ちている訳ゃ無ぇしな。
…まぁいい。俺様、近所のスーパーに買い出しに出掛ける時、決まって実用車という、昔の、築地市場御用達自転車に乗って行くんだ。わが国の歪な自転車事情を辿ると、この自転車に行きつくのだ。この実用車って呼ばれる業務用自転車、築地なんかでは平気で3~40年前の実用自転車が現役で走っている。何たって丈夫さが信条で、何しろ無く子も黙る「メイド・イン・ジャピャーン」の製品である。
飾りっ気一切無し。黒か深緑の、大概でっかい箱が後ろに括りつけてあって、商品を堆く積んで移動する。自転車は頑丈一辺倒なんで、当然、重い。だが、乗ると解るが、非常に頼もしい。
俺様がスーパーで買い物をするのは、大抵、ペットボトルのお茶関連、2ℓ1ケースと、ブレンディのペットコーヒー1ケース、牛乳や大根、その他おかず諸々と、必要な時は米10kg。これらを自転車に満載する。わはは。この芸当は女子供はおろか、自転車通の方でも、操作は難しいんだよ。流石の実用車でも、少したわみながら走るぜ。
以前、実用車を入手する前だが、コレをママチャリでやっていた頃、直感的に、こりゃあ、自転車がステムの部分から折れる可能性が有ると、本気で思ったもの。
で、そんな実用車ってのは、それをベースに輪タクを作ったりね、リアカーを牽いたりしてさ、何しろ日本の文化発展に貢献した、とてもエライ機械モンであると思うんだ。勿論、天下のママチャリも、この実用車がベースで、武骨さや頑丈さを緩和し、またがり易いフレーム形状にしたんだね。であるからして、ママチャリは正確には「婦人車」だの「軽快車」だのって云われるんだね。
ホンの少し前まで、メイド・イン・ジャピャーンだったママチャリも、残念ながら、もうほぼ100%、いや、もう実質的に120%と云ってもイイ位、ママチャリは「外車」になってしまった。地球上で、唯一、日本国内のみでしか使われない、自給自足すべきはずの自転車が、100%輸入品。昔は外国製品を、「舶来品」なんていって、恭しく扱っていた時代が有ったがね、確かに中国から大量に運ばれて来るよ。コンテナー船舶でね。舶来品だ。
メイド・イン・ジャピャーンを捨てた自転車に付随して起こった問題は、自転車のJIS、日本工業規格の無実化であるね。JIS規格ってのは、日本国内工場にて生産された製品に対して与えられる、安全品質。
唯一、地球上で日本のみでしか使わないママチャリから、JISマークが消えているのである。日本って国は、舶来品に滅法弱く、自転車に関しては、その生産国の安全基準を満たしていれば、その自転車を、誰でも販売する事が出来ると云う。
…落とし穴が二つあったね。その国の安全基準、生産国は中国。中国製のジドウシャは現時点で、実質的に輸入されていないでしょ?それが中国の安全基準。で、安全かどうか解らないモンを、誰でも仕入れて、勝手に販売して宜しい、って事になっている。わはは。どんだけ自転車って軽視されてんだって話だよ。
90年代初頭まで、僅かに残っていた、日本製1万円自転車。日本人の律義さで、そして職人気質なモノづくりの精神で、しっかりと、そして当たり前の様に付いていたJISマーク。
くたびれた、何の変哲も無いママチャリに乗ってくるお客さんが、パンク修理に来る。ナリは相当ボロボロだが、オーナーはこう云う。
「対して手入れもせず、乗りっ放しなんだけど、コレが乗り易いのよ。壊れないしねぇ。」
「最後の日本製だからね。大事に乗ってあげなよ。」
「??? はぁ。そうねぇ…。」
解らなくってイイのだ。陰に職人の技が光っている。控え目にね。それで十分だ。
…今はもう存在しない。そんなブランド。
…続く。
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